6月議会一般質問 障害者の部
■6月14日におこなった市議会、一般質問の障害者自立支援法に関わるやりとりをご紹介します。 長文ですがぜひ、お読みください。
6月14日山田議員の障害者自立支援法に対する取り組みについての質疑応答
○山田議員
次の問題は、障害者自立支援法に対する取組みについてであります。
障害者の為の法制度が、支援費制度から障害者自立支援法に変わりました。今回の法律の特徴を一口で言えば、障害者の応能負担から受益者負担に切り替えられたことです。
この改変は障害の程度の重い人ほど負担が重くなる、正に弱い者いじめそのものです。
そこで、今回の制度改正で、障害者の負担はどうなっていくのか、授産施設と更正施設の利用料はどう変わっていったのでしょうか。
次に、利用料の引上げで、障害者が施設の利用を止めるという事態が広がっている中で、市は、今回の利用料引上げをどう捉えているのか、又、障害者の負担軽減の検討はしていないんでしょうか。
次に、障害者が利用する施設の内、授産施設では、これまでの月額算定から日額算定に切り替わり、運営費で大変厳しい状態となっています。市として、そのような実態を把握しているのでしょうか。 安定的に、授産施設や障害者福祉施設の運営ができるのでしょうか。現状についてお答えください。
又、これまで公費負担で実施されてきた育成医療・更正医療・精神通院医療の三つの制度が自立支援医療に変わりました。
その結果、これまで応能負担であったものが、応益負担に変えられ、患者にとっては大変大きな負担となりました。
又、入院時の食事代が全額自己負担となりましたので、入院治療の必要な障害者にとって大変厳しい重い負担となっています。担当課では、医療を必要とする障害者の実態をどのようにつかんでおられるのでしょうか。
○大田市民福祉部次長 それでは、4点のご質問にお答えします。
(1)法施行後の障害者及び家族の負担についてでありますが,本年4月から障害者自立支援法が施行され身体障害・知的障害・精神障害を一元化して支援施策が行われることになっています。
入所・通所施設利用者負担につきましても支援費制度化において、前年度所得に応じて、負担金額を決める応能負担から国の定める事業の報酬単価を利用したサ-ビス料を乗じて得た額の1割を負担する応益負担に変更されたところであります。これに、更に、食費・光熱費が自己負担となったところであります。
この負担額に4段階の上限設定を設けると共に様々な個別減免・補足給付など低所得者障害者の利用負担軽減措置を設けているところであります。
続きまして、(2)市の捉えかたと負担軽減への取り組み,考え方についてでありますが、利用者負担については、負担が増えすぎないよう、先ほど申し上げました様々な軽減措置が講じられております。この軽減措置を十分活用できるように努めてまいりたいと考えておりますので、現在のところは利用に対する市独自の軽減等は考えておらないところであります。
続きまして、(3)障害者福祉施設の運営実態と安定的サ-ビス供給についてでありますが、市内の通所施設の3月・4月の支援費を見ますと収入は減少しています。
主な原因は、4月から報酬単価の引き下げ及び支払方式が月額制から日額制に変更された為と思われます。その為、今後の施設運営は大変厳しいものとなると思われます。
障害者施設が、安定的サ-ビスを供給することは今後とも必要であり、その為には事業所の経営努力は不可欠でありますが、市の施設である「みつば園」、「まつば園」は、安定的な経営を維持していく為、支援を検討していくことが課題と考えています。
続きまして、(4)自立支援医療の変更に伴う障害者負担の実態についてでありますが、従来の精神通院医療・育成医療・更正医療の対象となる方は自立支援医療に変わってまいります。自立支援医療制度が導入され、上限額が設定され1割の定率負担となります。これに食費負担が加わることとなります。しかしながら、県制度として、重度心身障害者福祉医療助成制度があります。これは、心身ということで、山口県につきましては、3障害全て含まれるということで、実質的な減額措置であろうと考えています。これで、ある程度カバ-出来ると考えています。
再質問
○山田議員 障害者自立支援法の問題についてですが、今回支援費制度から支援法に変わることによって、更正施設などでは、障害程度区分4以上でないと施設にいられなくなると言うことで多くの保護者の方が心配しておられます。
どのように対応されるのでしょうか。
○大田市民福祉部次長 すぐに支援法に対応するのでなくて旧制度のままできるという経過措置がございます。
適合していないというわけではなくて、この5年間の猶予期間がありますので、その期間につきましては、旧ABCランクの給付でやっていくということでございます。
○山田議員 ということは、5年後には、今言った退所というおそれが考えられるということですね。
身体障害者の共同作業所の全国組織に「きょうされん」というのがあります。
ここが、3月時点での実態調査を行なっていますが、自立支援法の影響で、既に、退所したあるいは退所の意思を持っているのが、この「きょうされん」の調査で全国で2.58%、329人居られるということが明らかになっています。 これは、3月末の調査ですから、実際に施設から請求書が届くのが5月に入ってからなんですね。 で、その時点になれば、「きょうされん」ではもっともっと増えていくだろうということを予想しています。
「きょうされん」では以前の措置制度から支援費制度に変わったときにも同じような調査をしておられますが、その時点では退所の比率が2%で、今回は事前の調査でありながら、2.58%、非常に高い影響がでているわけです。ところで、当市では、自立支援施行による施設からの退所或いは退所の意思を表している、そういう影響は出ていないでしょうか。
○大田市民福祉部次長 現在のところ、そういうことは聞いておりませんが、国の方が今回山陽小野田市で作成します障害福祉法の中に、「目標値を定めよ」という事は出てきています。
○山田議員 今、言われた目標値とは何の目標値なんですか。
○大田市民福祉部次長 退所の目標値です。
○山田議員 何故、退所の目標値が必要となってくるんでしょうか。
○大田市民福祉部次長 この自立支援法の趣旨にのっとります地域でできるだけ過ごしていただくという趣旨の基に国の方は出してきているようです。
○山田議員 分かりやすく言えば、この度の法律の施行によって、「軽度の人は地域に皆帰ってくれ」ということなんですね。
次に、入所施設の問題ですが、現在、更正施設に入所して居られるAさんの例です。
3月までの支援費制度の負担が3万9,800円でした。5月に請求書が届いたんですが、
4月から基本料金として、1万5千円、
食費が4万1,028円、光熱費が1万円、
減額がありまして、合計で、6万5,671円という請求が来ました。2万5千円以上の負担となっています。
収入は、この方の障害者年金が月6万6,833円です。ですからほとんど利用料に消えて行くということです。
身の回りのものを買う、或いはおやつ、旅行の積立金は、別途、保護者が用立てないといけない状況です。
で、保護者は、子どもの生活費の負担をしなくてはいけないわけですが、この基本料を安くしていく為にAさんの住所を施設内としておられます。
しかし、自立支援法の制約で、子どもがこの基本料の減免、一般だと3万7千円なんですが、この1万5千円の減免を受ける為には、税制上や社会保険上の扶養者をこのAさんを親御さんはとることができないという仕組みになっていると思うんですが、事実でしょうか。
○大田市民福祉部次長 親子の間を切るようで、私の方からは、申し上げにくいんですが、この法律によりまして、「世帯」というのが、今議員が言われましたように、税制と医療保険で扶養者であるということということが認定されましたら、世帯全体の所得が対象となります。
ということで、そうなれば、自己負担の上限額が上がってくるので、その中で、今、扶養が取れないという風に考えております。
○山田議員 ということです。で、入所施設利用者には、補足給付と言うのがありますよね。この補足給付は手元に2万5千円が必ず残るという仕組みになっているんですが、このAさんは補足給付の対象外となっています。どういったことが理由として挙げられるのでしょうか。
○大田市民福祉部次長 おそらく、資産が350万円以上あるのだろうと思います。そうなると、負担の上限額以下の減免を受けることは出来ません。個別減免・補足給付を受けることが出来ませんので、おそらく350万円以上の資産があると思われます。
○山田議員 多くの入所者が本人名義の貯金を多額にして居られて、こういう事態が広がっているそうです。別の保護者の方からお聞きしたんですが、「何故、本人名義の貯金が多額になっていくのか」ということなんです。親としては、自分たちが居なくなった後でも我が子が困らないように、それこそ無駄を一切しないで、必死になって子ども名義の貯金をしていくそうです。
ところが、今回の自立支援法では、この貯金が350万円まで減るまでは、利用料負担でとられてしまう。減免が受けられないという事態です。親は、税制上の扶養者ではないのに、仕送りをせざるを得ないということです。
施設での生活のために、子どもに仕送りをしても扶養控除が受けられない、その子の将来を思って貯金をしても、政府はそれを使い切るまで許してくれないという事態です。
このやり方にある保護者の方は私にこう言われました。「政府は私達が死んだ後も子どもを苦しめる」、怒りをあらわにしておられました。市としてこのようなやり方に対して政府に物申すべきではないでしょうか。市長いかがでしょうか。
○白井市長 制度の大枠は国が作ります。末端の行政組織でその制度の根本について触れることは出来ません。後、それをどう運用するかという問題です。で、運用面で、制度が持つ欠陥、これをどう是正していくか、そういう方向で色々知恵をお借りしたい。
私達も取り組んで行きます。尚、先日、全国市長会がありました。その会場でも当然問題となっております。政府にこの制度の根本的なところの見直し、そして、欠陥部分の是正、それを求める声、随分でております。しかし、制度として発足していますから、それを受けて、運用面で先ほどのような取り組みが必要であると考えています。
○山田議員 市として出来ることはやって行きたいということだと思うんですが、障害者が応益負担によって生活が苦しくなっていっているというのは、分かると思うんですが、サービスが受けられないということもあるんです。
そういったことをなくしていくために、全国各地の自治体で応益負担部分の減免を実施しています。急速に全国に広がっていっています。これについて、政府はやってはいけないという足かせは掛けていません。
共同作業所や更正施設の負担金の減免或いは介護サ-ビスの利用料の減免、精神通院医療費の無料化、身体障害者の使用する補装具の負担金減免など多岐に渡っています。 全国に倣って山陽小野田市の障害者の要望を聞き的確な対策をたてていくことが必要だと思うんですが、その点についてのお考えをお聞きします。
○白井市長 今後、調査研究をしてまいります。弱い人が生きて行けないような、少なくともそういう生活が山陽小野田市では生じないように努力してまいります。
○山田議員 私、今回、障害者のご家族のお話を聞く中で、やはりこの法律の施行が非常に大きな足かせとなっているということが口々に語られています。
最近、新聞紙上でも出ておりましたが、障害者の親が子どもの将来を悲観して、子どもを道連れに自殺をする、先日には、子どもは殺してしまったが自分は死に損ねてお母さんが殺人罪で逮捕されるという記事もありました。
多くの保護者は、自分が死んだ後も不安を抱えたまま、そういう事態が今広がっているんです。そういう思いは短時間の間では語りきることが出来ません。そこで、是非、市長にお願いなんですが、障害者の家族の方たちとひざを突き合わせて、一体、今どういったことが市として出来るのだろうか、そういった声に真摯に耳を傾けていただきたいんですが、その点についてのお考えをお聞かせください。
○白井市長 私は「対話の日」で市民の中に出かけています。又、一応終わりましたが、「市政説明会」、月3回出掛けておりました。そういったところでは不思議とそういった人たちの声は出てこないんです。
それは、横におきまして、そういう人たちと対話の機会、結構です。
どうしたらいいんでしょうか。市の方でそういう企画が必要なんでしょうか。
もう少し、具体的な提案をお願いします。
○山田議員 具体的に言いますと「まつば園」、「みつば園」或いは山陽地域でも様々な施設があると思うんですが、その場で「保護者会」等があります。是非ともその様な場に出かけて行っていただくのが一番ベストだと思います。
○白井市長 努力します。
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